ヴァイオリン(バイオリン)奏者の方のご経験

10年前オーケストラ本番中に腕が全然上がらなくなったのが嘘のように、おかげさまで今は穏やかに音楽活動させてもらっている。

 

そもそも勉強・経験不足なのでは?など言われて、やっと掴んだプロのオーケストラ活動は散々な状態。もう一度技術を学び直し本番に挑むが、指揮者が入りいざ楽器を構えようとすると右腕だけ上がらない。弓を全く持ち上げられない。練習不足なわけない、度胸がない?あり得ない。
結局オーケストラ仕事は辞めざるを得なかったが楽器人生を終わる気はない。この不思議現象を解決したく、その約3年後かわかみ先生のレッスンにたどりついた。

 

レッスン直後は正直あまり分からなかった。半信半疑で本番へ、でもその変化に驚いた。演奏が好調だった時のように、いやそれ以上かも、腕が思ったように動いた。疲れている時の本番はふと戻ってしまいそうな時もあったが、レッスンを繰り返しつつ徐々に大きな本番を踏むようになった。

 

レッスンを受けてから2年後、室内楽やソロの仕事依頼を個人的に頂くようになり、アマチュアオケのエキストラとしても活動するようになった。その後は以前の悩みはほぼ消え、不調当時を知る方々からはまるで別人と言われる最近。

 

思ったように表現するには思ったように身体が動くことが必要になる。
もしただのスランプとは思えない、私と同じような状態で悩んでいるなら、活動を諦めずぜひ扉を叩いてもらいたいと思う。気持ちの問題ではなく、身体の問題なので。

 

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<セラピスト談話>

かわかみ ひろひこ - トラウマ・セラピスト最初はアレクサンダ-テクニークのレッスンにお見えになりました。

しかし、舞台の本番を迎えると、腕が”挙がりづらい”ではなく、腕がまったく挙がらなくなるという、あたかも麻酔がかかっているような状態でしたので(自律神経系をはじめとする生理反応が引き起こしている)、むしろソマティック・エクスペリエンスの方が適していると判断しました(アレクサンダーテクニークだけでもやれないことはないのですが、時間がかかると思いました)。

そこで、ご相談の上、しばらくソマティック・エクスペリエンスのセッションをメインに、アレクサンダーテクニークのレッスンも平行して行いました。自律神経系をはじめとする生理反応が落ち着いてからは、表現力の向上のための演奏時の動きの質の改善という観点からアレクサンダーテクニークがメインになりました。

この方のように、私たちは傷ついた自律神経系の働きを正常に戻すことができます。

自律神経系の問題は、この方のおっしゃるとおり、心や精神の問題ではなく、身体(生理的な働き)の問題、あるいは心と不可分に結びついた身体の問題です。